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テイクアウト専門店の開業マニュアル【店舗の開業なら塊】
テイクアウト専門店を開業するには? こんにちは。 株式会社塊です。 先日、テイクアウト専門店の市場が拡大していることを話しました。 デメリットはあるものの、メリットが大きいテイクアウト専門店。 開業するにはどのような手順を踏んだらよいのでしょうか? 1、コンセプトを決める テイクアウト専門店の業種は飲食店、業態はテイクアウト店になります。 まずは、どのような商品やサービスを提供するのか決めましょう。 和食、イタリアン、洋食、サンドウィッチやハンバーガー、タピオカやスムージーなどの飲料、韓国料理、アジアンフード、サラダ など テイクアウト専門店といっても提供内容は多岐に渡ります。 韓国料理ひとつ取っても、フライドチキンのみを提供しているお店や、スンドゥブチゲのみを提供しているお店など様々ですよね。 主力商品が一つだと、そこをしっかりアピールすることが出来るのでテイクアウト専門店にはそちらの方がおすすめです。 また、提供商品を絞ることによって廃棄を減らせる・業務を効率化できるなどの利点もあります。 大体のジャンルを決めたら、その中から提供する商品を2-3品選びましょう。 イタリアンならピザやパスタ、タイ料理ならガパオライスやカオマンガイなど、知名度があり人気が高いメニューを選択すると目に留まりやすくなります。 それに合わせるサイドメニューはどのようなものを用意したらいいでしょうか。 チキンにはビールやフライドポテトといったように、サイドメニューをある程度は準備しましょう。 2、事業計画書を作成する 次に行うのは、事業計画書を書くことです。 これは、テイクアウト専門店だけでなくどのような事業であっても同じです。 開業時には必ず、事業計画書を作成しましょう。 融資などを行ってくれる、日本政策金融公庫が事業計画書のテンプレートを配布してくれていますので、こちらを活用すると良いでしょう。 日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード」 1で決めたコンセプトを基に、規模はどれくらいか、周りと差別化できる点はどこか、 強みや弱みなども洗い出します。 そして、開業にかかるコストの試算、その回収方法やかかる期間なども算出します。 融資をお願いしない場合であっても、事業内容を整理して、今後の見通しを明確にするためにも作成することをおススメします。 3、物件の選定 物件を探しましょう。 テイクアウト専門店には客席が必要ありません。 また、規模や提供商品にもよりますが、基本的には大きな厨房機器なども必要ありません。 ある程度の調理スペースと休憩スペース、商品受け渡しスペースがあれば十分です。 繁華街や駅チカである必要もありません。むしろ郊外の方が良いです。 もし余裕があるならば、駐車場を借りることが出来たらそれはプラスに働くでしょう。 テイクアウトを利用する人の多くが車で来店すると予想されるからです。 郊外の物件で、5~10坪程度あれば十分です。 飲料店だと2坪で運営しているようなところもあるそうですよ。 4、設備の搬入・内装工事 物件を決めたら、次に内装施工業者を選定します。 テイクアウト専門店のほとんどが、入居時の内装のまま運営しているので、もちろんそのままでも問題ありません。 しかし、もちろんこれも業種により異なりますが、冷暖房機器や吸排気設備、冷蔵庫やキッチンなどの搬入は必須です。 中古にするのか新品にするのか、またはリースにするのかなどを考えて選定してください。 リースには原則契約期間の縛りがあります。 中途解約になると、解約金等が必要になる場合がありますのでしっかりと吟味しましょう。 5、各種保険への加入・許可申請の提出 店舗を運営するにあたって、火災保険には加入しておきたいところです。 また、テイクアウトは店内飲食よりも食中毒の発生が起きやすくなりますので、PL保険(生産物賠償責任保険)の加入も必須です。 フードデリバリーにおいては、配達途中の事故なども予想されますので、当該関連保険への加入も検討してみると良いでしょう。 最近では、「テイクアウト・デリバリー総合補償プラン」などの保険も登場しているようです。 雇用者が居ない場合は労働保険の加入は必要ありませんが、その場合は自分自身の任意労災保険の加入について考えてみて下さい。 6、テイクアウト申請・フードデリバリーへの登録 ここが他の飲食店とは異なる点で、最も大事な点になります! テイクアウト専門店を開業した場合も、他業態の飲食店開業時と同じように飲食店営業許可をとる必要があります。 厨房で調理した料理をテイクアウト販売する場合は、飲食店営業許可の範囲内となるため、基本的には新たな手続きは不要です。 しかし、ケーキやアイスクリームの製造に関わる場合は菓子製造業やアイスクリーム製造業などの別の許可が必要となりますのでご注意を。 また、酒類を提供する場合には別途酒類小売業免許が、店舗の厨房以外で調理をする場合には保健所の許可が別途必要になってきますのでこちらも注意が必要です。 フードデリバリーを行う場合は、各フードデリバリーサイトへの登録が必要になります。 各サイトにアクセスし店舗情報やメニュー一覧、営業許可証番号、銀行情報の証明書類などを提出して登録作業をすすめます。 例えば、ウーバーイーツなどの場合は、登録から営業開始までに2週間~1ヶ月程かかるようです。 開業と同時にフードデリバリーも始めたいならば、早めに登録しておくのがいいでしょう。 しかし当たり前ですが、開業前に注文が入ってしまうとどうしようもないので、そのあたりのさじ加減には注意しなければなりません。 まとめ テイクアウト専門店開業は、他飲食店を開業することに比べたらずっと簡単に、低コストで行うことが出来ます。 最短 数週間~1ヶ月でも開業が可能なので、開業をお考えの方はぜひマニュアルに沿って進めてみてください。
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お店の名前は変更できる?【店舗の開業なら塊】
お店の顔となる「店名」 こんにちは。 株式会社塊です。 お店の顔となるのは店名と店名が載った看板です。 普段私たちがお店を選ぶときは、SNSや地図アプリなどインターネット上で検索することが多いですよね。 そして、現地に着いたときにその期待値を高めてくれるのは、看板を含めた店構えです。 店名や看板、店構えなど、お客さんの印象を左右するそれらはとても大事になります。 その中でも、最も大事なのが店名になります。 その理由の一つは、看板や店構えは割と簡単に変更することが出来ますが、店名はなかなか変えることができないということ。 また、看板や店構えは現地に行って初めて印象を与えますが、店名はインターネット上でお店を選ぶときからお客さんに印象を与え続けています。 そもそも店名を決めるときには、・覚えやすいものにする・なるべく被らないようにする・何を提供しているか分かりやすいものにする・読みにくいものは避ける などに気を付けて慎重に選択する必要があります。 数年前に、高級食パン専門店が拡大したときがありました。 名古屋にもいくつか店舗ができ、それらの名前は「つまりね。だから♡」「ねえぇほっとけないよ」「今日もひとり占め」「もしかして宇宙人」などの一風変わったものでした。 これらはベーカリープロデューサーの岸本拓也氏によるもので、このように変わった名前を付けることによって、注目を集め認知度を高めることができたり、 高級パンをより身近に感じてもらえるようになったり、パン屋のイメージにとらわれず新しい価値が提供できるようになったりすることが狙いだったようです。 その狙い通り、変な名前の高級食パン店としてSNSやニュースでよく取り上げられていました。 道を通った時にその名前を見つけ、すぐ携帯で検索してしまったという人もいるでしょう。 知名度がない状態で開業する時、一番大変なのはお店の存在を知ってもらうことです。 このように一風変わった名前をつけることによって、広告宣伝にお金をかけることなく認知度を高めることに成功しているのです。 このように、お店の名前がお客さんに与える印象はとても大きいです。 だからと言って奇をてらった名前をつけようという話ではありませんが、どのような印象を与えたいのかをよく考えて決定する必要があるのです。 お店の名前が気に入らない…変更できる? 慎重に付けた店名だけど、やっぱりどうしても気に入らないということもあるでしょう。 また、近くに同じ名前の店があるなどやむを得ない場合もあります。 そんなときに、お店の屋号変更を考えてみましょう。 店名(屋号)変更をどのようにするかは、法人か個人事業主かによって異なります。 (1)法人の場合 法人の場合は、株主総会を開きそこで商号変更に関する決議をする必要があります。そして管轄の法務局へ書類提出のうえ登記申請を行わなければなりません。また、3万円の印紙も必要になります。 なかなか手続きが煩雑なので、司法書士に依頼する人もいるかと思いますが、その場合は別途3万円前後の報酬が必要になります。 手続き書類に不備がない場合であっても、登記謄本に反映されるまでには1週間ほどかかるでしょう。 そして変更登記後は、税務署に「異動届出書」を提出しなければなりません。 また、労働保険、健康保険、厚生年金保険などの各種保険機関やハローワークなどへの商号変更の届け出も必要になってきます。 (2)個人事業主の場合 税務署に、変更後の屋号(店名)で新たに開業届を提出します。 または確定申告時に変更後の屋号を記載するだけでも問題ありません。 法人と比べると大分簡単ですし、お金もかかりません。 確かに、個人事業主の場合は特別な手続き等もなく簡単です。 しかし、これらは法人・個人事業主どちらにも言えることですが、変更後の様々な手続きが大変です。 まず、銀行口座の名称変更を行わなければなりません。 取引先への名称変更の通達や、Webサイト・予約サイト・SNSアカウント・Googleマイビジネスなどの名称変更も必要です。 ロゴなどがある場合は、それらの変更も必要になります。 名刺や社印、ユニフォーム、看板などもすべて新しく作り直す必要があります。 大変な苦労がかかりますので、やはり店名は納得のいくまで考え、慎重に決めてくださいね。
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増えるテイクアウト専門店【店舗の開業なら塊】
増えるテイクアウト専門店 こんにちは。 株式会社塊です。 皆さんこんな経験はありませんか? ウーバーイーツで食事を注文しようとお店を選んでいるとき、 「あれこんなお店あそこにあったっけ?」「新しいお店がこの近所にオープンしたのかな?」…… 私がウーバーイーツでよく注文するのは、そんな見たことも聞いたこともないお店の商品です。 こんなお店が近所に出来たんだなー、と思ってその近くを通った時に探してみるのですが、どこにも見当たらない。 何となくキツネにつままれたような気分になります。 「こんなお店あったっけ?」という出前アプリに登録されているようなお店たち、それらは実はテイクアウト専門店かもしれません。 富士経済の調査によると、2024年テイクアウト市場は7兆7,005億円で、前年比2.3%増となっています。 出典:富士経済「第24053号 コト消費に伴う飲食施設、テイクアウト、ホームデリバリーの市場調査」 2020年コロナ禍により落ちこんだテイクアウト市場でしたが、翌年以降その市場を順調に伸ばし、2024年以降も堅調に増加傾向にあると予測されています。 既存店でもテイクアウトやフードデリバリーの形態を取り入れるお店が増え、そんな中「テイクアウト専門店」なるお店も登場しました。 これは、コロナ禍以前、ウーバーイーツなどのフードデリバリー事業が導入される前にはほとんど見ることがなかった形態のお店です。 テイクアウト専門店の利点 テイクアウト専門店には様々なメリットがあります。 (1)運営コストを抑えることが出来る テイクアウト専門店は、他飲食店と比べると運営コストをグッと下げることが出来ます。 基本的には1人ないし2人ほどの少人数で運営可能なため、まず人件費が抑えられます。 店舗に客席を設ける必要がありませんので、小規模でいいでしょう。そうすれば家賃が少なく済みます。 光熱費や清掃費、設備などにかかるお金も抑えることが出来ます。 (2)利益を確保しやすい (1)のように運営コストを抑えることが出来れば、利益を確保しやすくなります。 同じだけの売上があったときに、かかる経費が少なくなれば自ずと利益率は上がるからです。 ただ、テイクアウトでは酒類の注文がほとんどないので、酒類で売上・利益を上げている居酒屋などの飲食店と比べると不利ではあります。 また、少し足りないから追加注文しようといったようなことが滅多に起こらないので、実店舗と比べたときにその点は不利になるでしょう。単価が低いという問題はあります。 (3)店舗にこだわる必要がない テイクアウト専門店においては、客席を設ける必要がありません。内装も最低限でいいでしょう。 小規模な店舗で問題ないですし、立地にこだわる必要もあまりありません。 設備も実店舗ほど立派なものを準備する必要もないでしょう。 メンテナンスにかかるお金もグッと抑えることが可能です。 (4)開業にかかるコストが安い テイクアウト専門店では、(3)のようにお店の内装にこだわる必要がありません。 開業時の施工費をほぼかけることなく開業が可能です。 もし、改装や新築工事を行うとしても小規模な店舗なうえ客席が必要ないので、施工費は少額で済むでしょう。 ワンオペでの開業が可能なので、その場合は新しくスタッフを雇う必要がありません。求人にお金をかける必要がないということです。 また、その場合には従業員教育をする必要もありませんね。 プレオープンなどのイベントもあまり必要ないでしょう。 名刺やユニフォーム、カトラリー、食器やコップなどの備品を揃える必要もありません。 その分、テイクアウト容器などの仕入れにお金がかかりますが、それらはまとめて購入するなどしてなるべく費用を抑えられると良いです。 ただ、テイクアウトの汁漏れ問題にはしっかりと向き合わなければなりません。 容器には妥協することなく、フードデリバリーなどで揺れたり衝撃があったとしても、漏れないような容器を準備してください。 まとめ 増えるテイクアウト専門店。 開業のしやすさから近年注目を浴びています。市場は拡大傾向にあり、経済動向も後押ししてくれていると言って良いでしょう。 ここで思い出すのは冷凍餃子の無人販売店のことです。 冷凍餃子無人販売店は、その開業のしやすさや利益率の高さから数年で急激に店舗を増やしました。 しかし、今やそれらの店舗はどうなっているでしょうか。 ブームの火付け役だった「餃子の雪松」は愛知県内に1店舗もなくなってしまいました。 テイクアウト専門店も同じような道を辿ることがないよう、工夫をしながら経営を考えてみて下さいね。
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飲食店のワンオペ営業が主流になる?【店舗の開業なら塊】
「ワンオペ営業」とは こんにちは。 株式会社塊です。 先日、ショッピングモール内のレモネードやさんに行ったら、店員さんが一人でお店を回していました。 レジでの注文やお会計、レモネードやソフトクリーム作りなどを土日の混むであろう時間帯に一人で回していたため、行列が出来ていました。 最近は牛丼チェーン店などの深夜営業でも、一人で働いている店員さんを見かけますよね。 このように、一人の従業員が全ての業務(調理、接客、清算など)をこなす営業形態のことをワンオペ営業と言います。 他の職種ではあまり見ませんが、飲食店、特にチェーン店ではよく見られます。 チェーン店は調理の工程や接客がマニュアル化されているところが多く、ある程度のレベルが期待できるので、わざわざ業務別に人を雇う必要がありません。 もちろん、人が一人でさばくことができる客数には限界があるので、その範囲を逸脱しない場合においてですが。 上のレモネード店は明らかに無理なワンオペ営業だったので、顧客満足度も、従業員満足度もおそらく下がることでしょう。 ワンオペ営業の際にはそのあたりの見極めが重要になります。 増える飲食店の「ワンオペ営業」 株式会社シンクロフードが行った調査によると、3年以内に新規飲食店の出店を考えている人の約55%がワンオペでの営業形態を考えているそうです。 引用元:【飲食店リサーチ】飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)「飲食店の新規出店についてアンケート調査」 その理由として主に挙げられているのは、 ●人手不足だから●人件費をかけたくないから●最初から少人数での運営を検討しているから というもの。 昨今の人手不足や物価高・人件費高上昇を背景に、そもそも小規模のお店で少人数での運営を考えているという人も多いようです。 中には、「自由度の高いお店がやりたいから」や「すでに一人でも回るシステムが構築できているから」などの意見も。 日本は、諸外国と比べても高い高齢者比率となっており、2007年には高齢者人口が総人口の21%を超える「超高齢社会」となりました。 2024年には高齢者の占める割合が29.3%となり、今年2025年には3割を超えると予測されています。 更に進んで2060年には約40%ほどとなり、3人に1人は65歳以上の高齢者となるとされています。 すでに人手不足に悩む企業・店舗も多い中、人材不足は深刻な問題となっています。 また、物価高・人件費高の上昇も問題となっています。 物価は消費者物価指数をみるとその上昇率を見ることが出来ます。 2023年に前年比2.8%上昇した消費者物価指数(CPI)は、2024年12月にはさらに前年比3.0%上昇しました。 ここ3年連続の上昇となっています。 人件費は、最低賃金の推移などに見ることが出来ます。 全国加重平均でみたとき、2015年度は801円だった最低賃金は、2024年度は980円となり、179円の上昇となりました。 つまりここ10年で約22%の上昇となります。すごい上げ幅ですね。 確かに、これらを背景に考えたときに、簡単に雇用を増やすというのは難しいでしょう。 ワンオペ営業は今後のスタンダードとなっていくかもしれませんね。 実際には、無理なワンオペ営業が通されていることもあります。 この場合は、店舗にとっても顧客にとってもデメリットしかありません。 しっかりと一人でも回るようなシステムを構築し、キャパシティを見極めながら「ワンオペ営業」について考える必要があるでしょう。
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「まかない」は給与で課税対象!?【店舗の開業なら塊】
飲食店における「まかない」制度 こんにちは。 株式会社塊です。 「まかない」:賄い。飲食店で働く従業員に提供される食事のこと。 飲食店でのアルバイト経験者の中には、このまかないの恩恵を受けていた人も多いはず。 私も大学生時分の時はこのまかない制度に助けられたものです。 懐石料理店ではたまにカニ雑炊などの豪華な賄いを出してくれましたし、焼肉店では上焼肉コースで提供するようないいお肉もたまに出してもらえていました。 まかないには様々なメリットがあります。 ・(お店から見て)従業員に店の味を知ってもらい、お客さんにすすめてもらえる ・(お店から見て)従業員間のコミュニケーションの場となる ・(お店から見て)雇用の確保がしやすくなることがある ・(お店から見て)廃棄食材を有効活用できる ・(従業員から見て)食事代を浮かせられる ・(従業員から見て)味を学ぶことが出来る 確かに、手間や余分な代金がかかることはありますが、それを補って余りあるメリットがあります。 私の知人が今のバイト先に決めた理由が「まかないのある・なし」であったように、求人にお金をかけるくらいなら従業員に還元したほうが、自ずと人は集まるのかもしれません。 求人にかけるお金よりもずっと安価で済むことがほとんどですしね。 よく「まかない」と「食事補助」を混同する人がいますが、以下のような違いがあります。 まかない:飲食店などが従業員に対して、食事などを現物支給すること。 食事補助:従業員の食事代に対して、企業や店がその代金の一部を負担すること。 まかないは原則無料ないし割引価格での食事の現物支給であり、食事補助は金銭の一部負担という福利厚生にあたります。 まかないは福利厚生でなく、現物支給による「給与」にあたるということですね。 つまり、まかないは課税対象となるのです。 一体どういうことなのでしょうか。その仕組みを見てみましょう。 「まかない」の税務上での扱いは 「まかない」は税務上現物支給の「給与」にあたり、課税対象となります。 そのため、無料で従業員に提供しているまかないに対しては、所得税が発生します。 では、一体どれくらいの税金をまかないでは納めなければならないのでしょうか。 ■アルバイト従業員3人、1食まかない費200円の場合 この場合、申告しなければならない「まかない」給与額は 200円×3人×300日(休日65日)=18万円です。 所得税はその従業員の年間給与によって割合が異なります。 国税庁「所得税の税率」より アルバイトの所得税率は一般的に5~10%が多いと思いますので、今回は10%と仮定します。 18万円×10%=1万8千円 1万8千円の所得税を納めなければなりません。 これは本来なら従業員本人が納める税金ですが、所得税は会社が総支給額から差し引いて、従業員の代わりに国へ納めるのが一般的です。 しかし、まかないによって手取り額が少なくなるということをなかなか従業員に告知するのは難しいですよね。まかないのメリットを感じてもらえなくなるでしょう。 実状で言うと、無料で提供しているまかないを給与計上しているお店はほとんどありません。 しかし、もし税務署に指摘されたら、当たり前ですがこれは脱税にあたります。 税務調査では一般的に3年間遡りますので、指摘された場合は3年分の税金に加え、不納付加算税(10%)を支払わなければなりません。 もっと高い金額のまかないを、もっと多くの人数に、1日に1食だけでなく複数食提供していたとしたら、結構な金額にあたります。 しっかりとまかないも給与として計上し、課税するようにしてください。 しかし、以下の場合はまかないを「福利厚生」として計上できるので課税の必要がなくなります。 (1)従業員が食事額の半分以上を負担していること。 (2)食事額-従業員が負担している金額=1ヵ月当たり3,500円(税抜き)以下であること。 例えば、先の例で考えてみます。 まかないを無料ではなく、100円で従業員に提供するとしましょう。 この場合、従業員の負担額は半分以上となり、(1)を満たします。 (2)においては、200円-100円=100円 100円×31日(1ヶ月)=3100円<3500円となるので、(2)も満たすこととなります。 この場合は、まかないを福利厚生費として計上することが出来ます。 ただ、この場合、従業員にとっては実は損をしていることになります。 もしまかないが無料で、自己負担額がなければ、所得税を納める必要がありますが、この場合の所得税がいくらなのか計算してみましょう。 200円×31日×10%(所得税)=620円/月 となります。 もし、100円負担する場合は3100円/月となりますので、所得税として納めた方がお得になります。 ただ、心理的には無料だと思っているまかないから、税金が発生するというのは受け入れがたいという人が多いでしょう。 それならば100円という破格でまかないを食べられる方が、理解は得やすいかもしれません。 まとめ まかないが給与にあたり、課税対象であるというのは意外と知らない方が多いです。 知らず知らずのうちに脱税しないためにも、どのような方法(給与計上する or 非課税対象とする)をとるべきか今から考えておくと良いでしょう。
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キャッシュレス導入で3割のお店が売上UP【店舗の開業なら塊】
進むキャッシュレス こんにちは。 株式会社塊です。 2024年の日本におけるキャッシュレス決済比率は42.8%(141兆円)となりました。 2023年から3.5%の上昇となり、堅調にその比率を伸ばしています。 東京都では、キャッシュレス決済導入店舗の比率が9割を超え、他府県もそれに続いています。 日本はキャッシュレス後進国だと言われていましたが、ここ数年で急激に普及し、脱却しようとしています。 政府が掲げていた、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割以上に、という目標も1年前倒しで達成することとなりました。 理由は様々ありますが、インバウンドの需要の高まりもキャッシュレス決済導入・普及の大きな一因のようです。 キャッシュレス導入による売上への影響は? 店舗経営に役立つ情報を発信しているメディア「OREND(オレンド)」の調査によると、キャッシュレス決済を導入したお店の約3割ほどが売上アップを実感しているそうです。 売上が落ちたと回答した店舗はわずか6%で、業務の効率化などを考えると導入するメリットはありそうです。 キャッシュレス決済の導入により、売上が上がったという店舗は、 ・高単価の商品やサービスの販促 ・キャッシュレス決済利用者からの需要 ・会計業務効率化による回転率の向上 などを背景に実感があるようです。 2024年、キャッシュレス決済の比率が約43%になったということは、半数近くの消費者がキャッシュレス決済を望んでいるということです。 この比率は今後も高まっていくと考えられるので、そのような顧客の需要を掴むためにもキャッシュレス決済導入は今や必至と言えるでしょう。 しかし、キャッシュレスの決済は業務効率化に繋がるとは言え、手数料の高さは店舗にとって気になるところです。 そんな場合は、手数料と必要経費の削減とを天秤にかけて考えてみましょう。 キャッシュレス決済の手数料は、クレジットカード決済は3~5%、電子マネーは3~4%、QRコード決済は0~3%程度が相場と言われています。 キャッシュレス決済導入による業務効率化によって、必要な人材が1人減らせるとします。 実際の数字にあてはめて考えてみます。例えば売上100万円のお店を経営しているとしましょう。 100万円分すべてキャッシュレス決済というのは非現実的ですが、今回はそのように仮定します。 100万円×0.05%=50,000円となり、手数料5%のキャッシュレス決済分の手数料は5万円となります。 業務効率化により、時給1000円のアルバイト1人が必要なくなったとしましょう。 アルバイトがもし1日3時間、週に5日働いているとしたら、1ヶ月の労働時間は60時間となります。 60時間×1000円=6万円の出費です。 この場合、キャッシュレス決済を導入した方が1万円分お得になりますね。 実際は売上全てをキャッシュレス決済、しかも5%という高額の手数料のキャリアを皆が選択するわけではないので、これよりももっとお得になると考えられます。 このように、実際の売上高とかかると予想される手数料、減らせる人件費などの経費の金額とを比べると、キャッシュレス決済を導入した方が良いのかどうかが分かります。 周りの店舗が皆導入しているから、数人の客に求められたから、などの理由で取り入れるのではなく、しっかりとキャッシュレス決済をした方が良いのかどうか吟味してください。 実際に経営してみてから決めるというのでも全く問題ありません。 立地や顧客層なども考えながら、様々な要素を複合的に考えて選択しましょう。