2024.09.26
従業員を解雇するときには【店舗の開業なら塊】
アルバイトってどんな立ち位置?
こんにちは。
株式会社塊です。
飲食店なり小売店なり…店舗の経営には人が必要になってくる場合が多いです。
いくらキャパシティの狭い飲食店でも、料理を作る人と提供する人の2人は欲しいところです。
小売店は小規模で行う場合は1人でも回せるかもしれませんが、
経理やレジ、接客、棚卸、発注、マーケティングなど全てを自分で行うのはやはり大変です。
どのようなお店も人手が欲しい、アルバイトを雇いたいと考えるでしょう。
しかし、いざアルバイトを募集して人を雇ったはいいものの、
その人が人間的に問題のある人であった…
勤務して欲しい時間に勤務してくれない…
当日連絡もなしに来なかったりする…
など問題を抱えているという話をよく聞きます。
アルバイトは一般的に
「主に学生やフリーターなどの若者が、一時的な収入を得るために空き時間を利用して働くこと」
と定義されています。
アルバイターは、福利厚生などによって企業やお店から守られることがありません。
ですから負うべき責任はありませんし、事実負わせるべきではありません。
お店側の心情としては、お店の一員として働く以上ある程度の仕事を期待するでしょう。
しかし、業務内容や出来ではなく労働時間に対してお金を支払っている以上、
過度な期待をするのはお門違いというものです。
もちろんそれは理解しているが、それにしても酷い勤務態度の人が多いというのです。
面接時に数十分顔を合わせた程度の人なので、見誤ることはあるでしょう。
しかし、いったん雇ってしまうと簡単に解雇という訳にはいきません。
では、実際に店舗に不利益を被るような人を雇ってしまった場合、
どのように対処すればよいのでしょうか。
「解雇」の難しさ
いったん人を雇ってしまうと、その後に「やっぱやめた」
ということはまかり通りません。
労働者にも権利があり、それは守られなくてはならないからです。
しかし、だからといって働かない人を善意で雇い続けろという訳ではありません。
経営者には経営者の権利があります。
そんなお互いの権利がどこまで認められるかという規定をした法律が
「労働基準法」いわゆる「労基法」と呼ばれるものです。
労基法によると、解雇については以下のように記されています。
──────────────────────────────────────────────
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
──────────────────────────────────────────────
一言で言うと、解雇は30日前に告知しましょう、ということです。
しかし、事前告知さえすればどんな理由であっても辞めさせられるかというとそうではありません。
解雇にはそれ相当の理由が必要で、その詳細については就業規則で定める必要があります。
解雇理由が不明確である場合それは不当解雇にあたり、無効になる可能性があり
最悪の場合裁判などに発展することもあります。
労働基準法第89条には
「常時10人以上の従業員を雇用する事業者は就業規則で解雇の事由を定めなければならない」
と記載がありますが、余計なトラブルを避けるために
従業員が10人以下であったとしても就業規則を作成しておく方が良いでしょう。
また、労働契約法においては
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
との定めもあるため、やはりどのような事業者も就業規則を作成するのがベターです。
①就業規則に解雇事由を定める
②30日前に告知する or 解雇予告手当を支払う
この条件をクリアし、相当理由がある場合に解雇を行うことが出来ます。
ただし、
※病気やケガによる休業期間とその後30日間、
また産前産後の休業期間とその後30日間は解雇してはならない。
※労働基準監督署等への法令違反の通告を理由に解雇してはならない。
という2つの制限があります。
ここは忘れないようにしたいものです。
まとめ
就業規則の解雇事由としてよく見られるのが
●勤務状況の不良
●勤務成績の不良
●業務に耐えられないとき
●労働者としての職責を果たし得ないとき
などの記載です。
これを読んでいかがでしょうか。
”不良”とはどのようなことを指すのか、”職責”とはどこまでのことを言うのか、
結構曖昧に表現されていますよね。
解釈が広いため、ある程度は経営者の裁量で解雇通告が可能ということになります。
しかし、労働者から「不良ではなかった」「職責を果たしていた」と主張された時は少し厄介です。
裁判で争うことになった際にはその”不良”や”職責”の程度が問われることになります。
そのようなことを避けるためには、もう少し具体的に記述するのが良いでしょう。
もし1人でも人を雇うならば、後から後悔しないためにもぜひ就業規則を作成してみてくださいね。