2025.05.02
食料品消費税ゼロで飲食店は何が困る?【店舗の開業なら塊】

食料品の消費税がゼロになるかも!不況の日本を救う策は
こんにちは。
株式会社塊です。
先日、2025年夏の参議院選の選挙予定日の見通しが発表されました。
7月3日が公示、20日が選挙日で合意が起きたため、確定ではありませんがこの予定で進んでいくようです。
20日が三連休の中日ということもあり、この日程の決定に対してネットや一部メディアでは「投票率を下げるために意図的に三連休の中日を指定したのでは」という批判が起こりました。
この日程の案が出たのは、東京都議選との接近を避けるよう求めた公明党からであったため、公明党に対して批判が集中、それを受けて動画で参院選投開票日の誤った情報として声明を出した公明党員もいました。
決まってしまったことはどうしようもないので、三連休に既に旅行などを組んでしまった人も、ぜひ期日前投票制度などを用いて投票に行きましょう!
さて、そんな参議院選挙ですが、立憲民主党からは「食料品の消費税を1年間ゼロにする」という公約が聞こえてきました。
食料品の消費税率を原則1年間に限ってゼロ%に引き下げ、その後は給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」に移行するという公約のようです。
また、他政党も消費税、その他税金のことを公約に盛り込む流れになっているので期待したいです。
物価高が続く現在、もし消費税がゼロになったら嬉しいですよね!
しかし、食料品の消費税ゼロを喜んでばかりいられないのが飲食店です。
なぜなら食料品の消費税がゼロになることにより「仕入税額控除」が適用できなくなるから。
では、その仕入税額控除とはいったい何なのでしょうか。
仕入税額控除とは?
消費税の仕入税額控除とは、国税庁によると、
「消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ、特定課税仕入れ等に係る消費税額を控除(仕入控除税額)して計算します。その控除を仕入税額控除と言います。」
とあります。
少し難しいので、簡単に説明してみます。
事業者が消費税を国に納める際には、売上にかかった消費税を全て納める必要はなく、仕入れる際にかかった消費税を控除(差引する)することが出来るのです。
例えば、イタリアンのレストランにて1000円でパスタランチを提供したとします。
その1000円のランチにかかる消費税は、店内飲食の場合10%の100円ですよね。
お客さんは1100円をお店に払います。お店の売上高は消費税を除いた1000円です。
では、お店は売上高1000円に対する消費税額の100円を、国へ納めなければならないのでしょうか。
ここで、仕入税額というものが登場します。
そのパスタの麺や具材のトマトにひき肉、付け合わせのサラダやスープに使ったレタスや玉ねぎを購入した際にも消費税はもちろんかかりますよね。
それらすべての食材の値段が500円だったとしましょう。すると、消費税額は8%の40円です。これが仕入税額にあたります。
そしてお店は、国へ消費税を納める際に、「売上高にかかる消費税額ー仕入税額」で納めればよいのです。これを仕入税額控除と言います。
この場合は100円ー40円=60円を国に納めることになります。
もし、この控除を行わなかったとしたら、あなたの納めた消費税額は100円+40円で140円になります。
つまり、消費税を二重で国に支払っていることになるのです。
インボイス不適格業者や免税業者からの仕入れや経費は、この仕入税額控除が適用できないので、仕入れる側のあなたが二重で消費税を負担しなければならなくなります。
「インボイス不適格業者とは付き合わない」の裏にはこのような事情があるのです。
消費税ゼロで飲食店は何が困る?
先ほどの話に戻します。
消費税がゼロになると、飲食店は食料品仕入時にかかる消費税がゼロになります。
つまり、仕入税額控除がなくなるわけです。
この控除がなくなっても、帳簿上の金額だけ見ると実際問題はありません。
例えば上記の例でいうと、「仕入時にスーパーに40円支払う+確定申告時に60円支払う」のと
「確定申告時に100円支払う」ので比べると消費税額は同じですからね。
なので、基本的にはそこまで問題はないと言えるでしょう。
ただ、どんぶり勘定で経営を行っている個人経営の飲食店は少し心配です。
今までは、仕入時に少しづつ小出しに支払っていた消費税が、仕入税額控除がなくなることによって、確定申告時に一気に来ることになります。
普段からきちんと帳簿をつけて管理していれば問題はありませんが、経理がおろそかになっているという人は消費税ゼロに向けて、少しずつ今から準備しておくと良いでしょう。
また、テイクアウトの問題というのもあります。
飲食店におけるテイクアウトは「食料品」にあたるので、食料品の消費税がゼロになれば、テイクアウトにかかる消費税は0%になります。
しかし、イートインは「食料品」にあたりません。今まで通り10%の税金がかかります。
今現在は、テイクアウトには軽減税率の8%がかかっています。なので、イートインとテイクアウトの比率はそこまで差異がみられません。
しかし、それが0%になるとどうでしょうか。ほとんどの人がそちらを選びたくなるのでは。
テイクアウトが増えれば実店舗の維持経費が勿体なく感じるでしょう。そうなると実店舗の閉鎖が続くことになるかもしれません。
また、飲酒などで長時間お店に滞在してもらうことにより、利益を得ている店舗には大打撃です。
まとめ
私たち一般消費者からすると消費税が食料品に限るとはいえ、ゼロになるのは大変喜ばしいことです。
しかし、その反面で飲食店の経営が難しくなることもあるかもしれません。
どのような政策が進められるのか注目しながら、それに適応して柔軟な経営を行ってくださいね。