2025.05.12
10%サービス料の是非【店舗の開業なら塊】

日本特有の文化「10%サービス料」
こんにちは。
株式会社塊です。
昨日は母の日でしたね!
お花やモノをプレゼントした人、食事に行った人なども多いのではないでしょうか。
私も母と共にイタリアンのレストランに行きました。
お会計時に伝票を見てみると、金額の下に小さな文字で印字が。
「当店はサービス料として10%いただいております」
雰囲気も良く、接客もそれなりだったので払うことに異論はないのですが、お会計にすでにサービス料が上乗せされているのは不快に感じる人も多いはず。
ホテルや高級飲食店などで目にするこの「10%サービス料」。
一体いつからどのような目的で導入されるようになったのでしょう。
欧米を始めとした諸外国にはチップという文化があります。
外食時のサービス料、荷物を運んでもらったサービス料、ベッドメイキングをしてもらったサービス料など、自分に対して何かサービスを提供された際にはほぼ必ず支払います。
アメリカでは外食時には食事料金の約20%をチップとして払うのが一般的で、ヨーロッパだと10-15%程度だと言われています。
そして、荷物を運んでくれたドアマンに1-3ドル、ハウスキーパーに1-5ドルなどを都度払い、タクシー運転手や美容師、エステティシャンなどサービスを提供してくれた相手には10-20%程度のチップを支払います。
このチップはそれぞれのサービスに相場がありますが、あくまでも受けたサービスによってその利率をお客さんが決定するものです。
言うなれば、お客さんへの接客の良し悪しを毎回評価されるようなイメージです。
実際に、私がカナダで働いていた時のことです。
お客さんにジュースを提供する際にこぼしてしまいました。優しい老夫婦で笑って許してくれましたが、お会計時のチップは5%。
「すごく丁寧に接客してくれたけど、先ほどの件もあったし、ごめんなさいね。でも他はすごくよかったわよ」と言って支払っていかれました。
また、ある日は「日本人の接客は丁寧だと聞いていたが本当だね。気持ちよく食事ができたよ!ありがとう。」と40%ものチップを個人的に貰ったこともありました。
自分が行ったサービスが目に見えて金額に返ってくるので、良い接客をしようというモチベーションに繋がりますよね。
このような性質を持つチップですが、これがなかなか日本では定着しませんでした。
なぜ日本ではチップ文化が定着しなかったのでしょうか。
日本人には真面目で勤勉な気質を持つ人が多いです。
そのため就業時間中に、自分の出来るだけのサービスを提供するのは「当たり前」だと考える人が多いです。
評価に反映されるされない関係なく、自分の責任を全うしようとします。
オリンピックを誘致する際に、日本の「おもてなし」文化を主軸にプレゼンが行われたのは記憶に新しいですが、
諸外国から見ると、驚くくらいのサービスを無償で提供しようとするのが日本人です。
そんな高いサービスがスタンダードとなっている日本においては、わざわざチップでフィードバックをするという文化が根付きづらかったのかもしれません。
また、そういったサービス料は既に料金に含まれている場合も多いため、定着がしづらかったようです。この既に料金に含まれているサービス料というのが「10%サービス料」「15%サービス料」といったものですね。
サービス料は拒否することができる?
ホテルや飲食店などで見られるこの「10%サービス料」や「15%サービス料」ですが、法律で規定がある訳ではありません。
しかし、これはあくまでも顧客との合意のもと成立するものなので、きちんと事前に明示する必要があります。
明示していない場合、トラブルに繋がる可能性があるのできちんと相手に認識させる必要があります。
具体的には、メニューや会計表に「〇%サービス料をいただいております」などの文言を明記しておきましょう。
注文時などに口頭で伝えるのも良いです。
では、このサービス料ですが、顧客は拒否することができるのでしょうか?
結論から申し上げると、原則的には拒否することが出来ません。ただ、場合によっては拒否することが出来ます。
なぜ拒否することが出来ないのでしょうか。
サービス料は、顧客と店の合意で成り立つものです。しかし、これは明確に同意する必要があるかというとそうではありません。
サービス料に対する明確な説明がなかったとしても、それに対して顧客が異議を示さなければ、法的には「黙示の承諾」が成立するのです。
そして、料理が提供された時点で契約の成立となっているため、サービス料の支払いを拒否することは極めて難しくなります。
しかし、サービスや対応に不満を感じた場合、拒否したくなりますよね。
まず前提として、顧客が拒否する権利はあります。
拒否する理由を明確にして、お店側に冷静に伝えましょう。法律的な立場は厳しいものですが、あくまでお店とお客さんなので、理由の如何によってはお店側が理解を示す場合があります。
また、明らかに一般的な利率や金額から外れたサービス料が請求された場合は、弁護士や警察に相談しましょう。
サービス料はお店にとってもいいことばかりじゃない?
10%や15%のサービス料を定めることは、基本的にはお店にとって利益となります。
また、そのサービス料を従業員に報酬として渡すことにより、モチベーションアップや人材確保に繋げることができます。
そして高いサービスのレベルを維持することによって、顧客満足度を高めることもかのうとなるでしょう。
しかし、ここで気を付けたいのがサービス料にも消費税がかかるということ。
例えば10,000円のディナーのサービス料が10%だとすると、
売り上げは10,000円×1.1=11,000円になります。
消費税は売り上げに対してかかるので、11,000円×0.1=1,100円
つまり、1100円の消費税を支払わなければなりません。
サービス料がなければ、消費税は1000円だったので、100円分増えているということです。
もし、サービス料で得たお金をそのまま従業員へ還元していたとしたら、それはつまり赤字になっているということです。
さらに法人の場合は、売上から経費を引いた法人所得額に対して法人税という税金がかかってきます。
大体税率は15-23%程です。
これは勿論、上記サービス料も含めた売上から経費を引いたものに対してかかります。
サービス料を導入するのは良いことばかりではないということですね。
まとめ
サービス料を導入する是非には、様々な意見があります。
導入した場合と導入しない場合のキャッシュフローを考えて、どちらが得策かしっかりと見極める必要があるでしょう。
また、デメリットとメリットもしっかりと考える必要があります。
「お通し料金」という文化も日本にはあります。
利率ではなく固定で、数百円×人数分の利益が見込めるサービス料のことです。
こちらも併せて検討してみて下さいね。