2024.06.02
傘が盗まれたのはお店の責任?【店舗の開業なら塊】
まもなく梅雨です
こんにちは。
株式会社塊です。
間もなく名古屋も梅雨入りですね。
梅雨と言えば、もちろん雨なわけですが、
一般的に雨が降るとお店の客足は伸び悩むことが多いです。
濡れるのが嫌だという方、気分がそもそも下がるという方(天気鬱)、
傘の開閉が面倒くさいという方…
雨は人が外に出向くのを阻む要素を沢山はらんでいます。
しかし、雨宿りのためといってお店に訪れる方、
雨の日サービスなどを目当てに訪れる方が少なからずいるというのも事実。
そのような雨の日に来店してくれたお客さんに対しては、
普段より一層ホスピタリティを持って接すると、リピーターになってくれる可能性が高いです。
そのホスピタリティの一つに、傘立ての設置があります。
お客さんの傘をどのように扱うかはお店によって異なります。
例えばコンビニなどは傘立てが設置してあります。
一方大型スーパーなどでは、ビニール製の傘袋が置いてあり、携帯出来るようなところが多いです。
飲食店も、傘立てを設置しているお店と傘袋を設置するお店に分かれています。
しかし、どちらかというと傘立てを設置しているお店の方が多い印象です。
口に運ぶものを提供する飲食店では、高い衛生管理が求められます。
そのような場に汚れた傘を持ち込むのはあまり宜しくないという観点から、傘立てを設置しているお店が多いのでしょう。
また、一般的に小規模の店舗は傘立てを、大規模の店舗は傘袋を設置する傾向にあります。
これは、大規模のお店では物理的に傘立ての容量が足りないことや、傘の取り間違えが多発することなどが理由としては考えられます。
傘立てに置いた傘が盗まれた!その時お店はどう対応する?
では、あなたが店舗を開業する際は、傘立てを設置するか
傘袋を設置して携帯してもらうか、どちらをお考えですか?
おそらく多くの方が、傘立ての設置を選ぶはずです。
傘立ての方が安価で、お店を水や泥で汚されることも少なくなるからです。
では傘立てを設置したあなたのお店で、
お客さん同士の傘の取り間違えや、傘の盗難が起こったら
あなたはその時どのような対応をしますか?
それがビニール傘ならまだ良いですが、ブランドの傘だったらどうでしょう。
その責任の所在はどこにあるのでしょうか。
●店内に傘立てを設置している場合
まずは、店内に傘立てを設置している場合を考えます。
店内に傘立てがある場合、お店が責任を問われる可能性があります。
この時に争点となるのは、その傘をお客さんが「寄託」したのかどうかです。
寄託とは、「当事者(お店)の一方が相手方(お客)のために物を保管することを約し、それを受け取ることによって成立する契約のこと」とあります。
つまり、お店がお客さんから傘を預かることを了承した場合にのみ、お店側に責任が生じます。
ただ傘立てに入れただけでは、その傘立てが店内にあったとしても
寄託したとは言えません。
ですから、お店側の過失というのは無理があるでしょう。
一方で、商法第594条によると、
「旅店、飲食店、浴場その他客の来集を目的とする場屋の主人は客より寄託を受けた物品の滅失又は毀損につき、その不可抗力によったことを証明しなければ損害賠償の責任を免れることができない」
とあり、場合によってはお店が責任を問われる場合があります。
この時、お店側が注意を怠ったという過失を証明できるかどうかが争点になるのですが、
注意義務を履行できていたかというのは、なかなか証明できるものではありません。
裁判で争うのが無意味とは言えないようですが、泥沼にはなりそうです。
●店外に傘立てを設置している場合
店外に傘が設置されている場合、こちらは完全にお店の責任は問われなくなります。
商法では、客の来集を目的とする場屋における取引を「場屋営業」といい、
店舗営業者はすべて場屋営業者にあたります。
場屋営業者は、店舗内における様々な事象に対して責務を負うのですが、
店舗外においてはこの限りではありません。
したがって、店舗外に置いた傘の保管に関しては全く責任が生じません。
一般的に店外に傘立てを設置しているコンビニなどは最たる例ですよね。
傘の取り間違えや盗難が起こったからと言って、コンビニオーナーが責務を負うことはありません。
まとめ
最も良い方法は傘袋を設置して、お客さんに携帯を促すことです。
こちらは考えるまでもなく、
何が起ころうと完全にお店側の過失はありません。
お客さん側の自己責任になります。
今回、傘立てを店外に置くという方法も、過失には問われないことが分かりました。
しかし、こちらは盗難やすり替えにあったお客さんによるクレームから、口論などに発展する可能性もあります。
何が最善なのかを見極めて、自分のお店に合ったものを選択していってくださいね。